怒りを研ぐこと

『布団の中から蜂起せよ: アナーカ・フェミニズムのための断章』を読んだ。久しぶりにグッとくるエッセイを読んだという感じがある。エッセイ自体久しぶりだが。著者の、世界への怒りが、研ぎ澄まされた怒りが満ちており、良い。

 

社会への提言や、理論を構築するのではなく、個人の経験に深く根ざした怒りを書くことで人々を蜂起させるというのは、エッセイにしかできないことなのかもしれない。著者自身も言っているがアジテーションである。

 

私もかつては繊細な怒れる若人だったのに歳をとって丸くなってしまったなとかいう謎の架空の感傷に浸ってしまった。いや怒りは風化させず、きちんと研ぐべきなのだ。この本の中でジェームズ.C.スコットのアナキスト準備運動について触れている、それは日々信号無視などの小さな法律違反を行い、アナキストとしての準備運動をするということなのだが、私もまた、世界の不条理への怒りを日々研ぐべきなのだとおもった。世界への二分間憎悪だ。