買ってよかったもの2020

2020年買ってよかったものという記事を書こうと思っていたら2月になってしまった。2020年は生活に変化があり、さまざまなものを買い、大体のものはよかったが、強いて一つあげるならば ノイズキャンセリングヘッドホン wh1000xm4 だろう。
かぶっているだけで QoL 爆上がりの一品である。ヘッドホンを外した時に周囲の騒音にびっくりする。電車や飛行機での快適度が段ちがいに上がる。私は常に音楽が必要な人間ではなく、むしろ集中したいときは音楽いらない派なので買うの躊躇していたが、ノイキャンかけているだけで良い感じなのでよかった。
ところで私はなぜノイズをキャンセルしたいという欲求があるのだろうか。ふと電車で周囲を見ると、みんなヘッドホンかイヤホンをつけて携帯を見ている。通勤電車の車窓の景色など誰も見ない。五感をなるべく遮断してイマココから遠ざける。例えば電車で VR ゴーグルをつけてる奴がいたらやべえ奴だなって思うけど、でも携帯とヘッドホンで周囲を遮断するのと VR ゴーグルつけちゃうのとの差ってほとんどないし、むしろ VR ゴーグルの方が効率的で効果的だし、なんなら数年後はそっちがスタンダードになってるかもしれない。15年前は電車でみんなこんなに携帯ばっか見てなかったよね。
私がそこそこの金を出してノイキャンヘッドホンを買うこと、それを買ってよかったと思うことは、クソみたいな世界をより遮断できるからで、なんかそう考えるとすごい虚しくなってくる。ノイキャンヘッドホンを必要としない生活の方が、ノイキャンヘッドホンを買うことよりも幸せなのは自明だ。そもそも買ってよかったものという概念が資本主義に毒されすぎている。私たちは欲望を捏造され植え付けられ、それを満たすという一連の運動を「買ってよかったな」どと能天気に称している。
こんな文章書くべきではなかった。買ってよかったという素朴な感想が、その根源である偽の欲望を正当化してしまっている。欲望を肯定してそれを原動力に行動する牧歌的な時代はすでに終わっている。欲望を疑わなければならない。今日も世界はクソだ。