スーサイドショップ 感想

Netflix でスーサイドショップというフランスのアニメ映画を観た。自殺用品専門店を営む一家の話である。人生に絶望した人々が首吊り用の縄や毒やカミソリを求めてやってくる。死ねなかった場合の返金保証もついている。

早速ネタバレしてしまうと、ネタバレしますよ、いろいろあった末に自殺用品店はやめてクレープ屋を開いてお客さんを幸せにする仕事はいいなあという感じで終わる。この結末はちょっと微妙だなとおもった。

かつて完全自殺マニュアルという本が流行った。あの本は書名の悪趣味さとは裏腹に、死ぬ方法を知ること、いつでも死ねることを知ることは生きる希望になる云々ということが前書きに書かれていた。

スーサイドショップの客も、どんよりとした顔でやってきて、晴れやかに帰っていく。このうんざりした人生からおさらばできるからだ。高品質な商品と丁寧な接客に満足して、ラッピングされた確実な死をもってワクワクしながらみな帰っていく。それはやはり少なからず希望を売っているのだと感じた。そういった諸々のことを一切否定して、全く関係ないクレープ屋に転職してしまうのはちょっと残念だった。もっと死と希望について掘り下げてほしかった。

作品全体を通して歌われる自殺賛歌はとても強力で魅力的なので是非観て欲しい。それをひっくり返すような生きる理由は結局提示されなかったが。