理想の終末(猫のゆりかご感想)

理想の終末とはなにか、おそらく猫のゆりかごで提示されるものはその一つだろうとおもう。静まった世界で生きることも死ぬことも容易である、好きなときまで生きて、死にたくなったら美しく死ぬことができる世界。

またボコノン教というカルトもこの作品の魅力だろう。訳者はボコノンの教えを「全体を貫く作者の思想」と解説で書いているが、むしろわたしは宗教のパロディだと感じた。パロディには形式を強調することで内容の不在を表す機能があると思う。宗教は空っぽでかつ人間を救う。